ModelLogue ユーザーマニュアル¶
対象バージョン: v7.x(3 モデル型対応) 言語: 日本語
ModelLogue は、ソフトウェア開発における モデルレビュー を支援するツールです。
レビュー中の図は Apply のたびに更新され、常にその時点の最新のモデルが表示されます。
適用した変更は版として記録され、図ツールバーの Undo / Redo で前の版に戻したり、やり直したりできます。
レビューの成果は、Save & finish で保存する証跡 JSON に残ります。 そこには、最終的に合意したモデルのソース、反映のたびの版の履歴、そこに至る対話ログ、マーカー、結論が入ります。 図に付けるマーカーは指摘を書き留めるための一時的な注釈で、図の画像には書き出されません。
このマニュアルの構成¶
共通の使い方はこのページに、モデル型ごとの固有の書き方・読み方は分冊にまとめています。
| ページ | 内容 |
|---|---|
| このページ | 画面構成、はじめかた、共通機能(チャット・マーカー・保存など) |
| 状態遷移図(State machine) | 状態と遷移のモデル。遷移表と N-switch テストケース |
| 要求図(Requirement) | SysML 風の要求図。トレーサビリティと孤立要求 |
| プロセス図(Process) | 業務フロー/アクティビティ図。シナリオ・ロール・成果物 |
まず本ページで全体像をつかんでから、扱うモデル型のページに進んでください。
対象読者¶
- 設計モデル(状態遷移・要求・業務フロー)を レビューする人(ファシリテーター)
- レビューに参加して図や要求を確認する人
事前の PlantUML の知識は必須ではありません。要求文を書いて AI にモデルを生成してもらう ところから始められます。
画面の全体像¶
サインイン済み(= AI が使える通常状態)では、画面は次の 4 領域で構成されます。

┌──────────────────────────────────────────────────────────┐
│ ヘッダー:モデル型セレクタ / Open saved review / Save & finish │
├──────────────────────────────────┬───────────────────────┤
│ 図ビュー(PlantUML SVG + マーカー) │ │
│ ├ ツールバー:選択/パン/楕円/矩形/矢印 │ AI チャット │
│ │ Undo・Redo・図の保存 │ (提案の適用もここ) │
│ ├────────────────────────────────┤ │
│ 分析パネル:Requirements / Source │ │
│ + モデル型ごとのタブ │ │
├──────────────────────────────────┴───────────────────────┤
│ ステータスバー:PlantUML Server / n8n の接続状態 │
└──────────────────────────────────────────────────────────┘
- 左側 … モデル図(上)と分析パネル(下)。境界はドラッグで高さを調整できます。
- 右側 … AI チャット。境界はドラッグで幅を調整できます。
- 分析パネルのタブは、Requirements・Source の共通タブに続いて、 選択中のモデル型に応じたタブ(遷移表・トレーサビリティ・シナリオなど)が並びます。
AI 連携は標準の動作です¶
ModelLogue のレビューは AI との対話を前提 に設計されています。 通常状態では、画面右側の AI チャットで、要求からのモデル生成・修正提案・指摘への応答を チャット越しに行います。
サインインしていないときは「入力欄」だけが出ません¶
チャット枠(これまでの対話の履歴)は、サインインの有無にかかわらず 常に表示 されます。 公開デモサイトで匿名の閲覧者に対して隠れるのは、メッセージの入力欄だけ です。
- 匿名でも、図の閲覧・ソース編集・分析タブ・マーカー・保存に加え、 開いたレビューの対話ログを読む ことができます(下記のサンプルや、共有されたレビューをそのまま読めます)。
- ただし新しくメッセージを送ったり、要求からモデルを生成したり(Generate Model)はできません。 入力欄の場所には「サインインすると送信できる」旨が表示されます。
- AI を使いたくなったら、ヘッダー右上の 「Sign in」 ボタンを押します。認証(サインイン)に進み、 戻ってくると AI が有効化 され、入力欄と Generate Model が使えるようになります。
- ローカル開発環境やオフラインのデモ(モック AI モード)では、サインインなしでも入力欄が出ます。
まとめ:対話ログは誰でも読めます。送信(AI との新規のやり取り)だけ がサインインを必要とします。
AI を使えるかどうかは、認証された利用者かどうか(本人確認)で決まり、 サーバー側で最終的に判定・保護されています。画面側の出し分けは補助的なものです。
はじめかた(シード → レビューの流れ)¶
セッションは大きく 2 つの段階を通ります。
- シード(Seed)段階 … これから何をレビューするかを用意する段階。 モデル型を選び、最初のモデルを作ります。
- レビュー(Review)段階 … 最初のモデルが確定してから。 AI と対話しながら図を磨き、指摘を書き込み、結論を出します。
この流れを状態遷移図にすると次のようになります。
この図自体が状態遷移図サブセットに準拠しており、そのまま ModelLogue に読み込めます (ModelLogue で自分のレビュー工程をレビューして作った図です)。 ソース: review-workflow.puml
「モデル型を選択 → 初期モデル作成」までがシード段階、「モデルの確認・マーカー付け」以降のループが
レビュー段階です。保存済みレビューを Open saved review… で開いた場合は、シードを飛ばして
「モデルの確認・マーカー付け」から再開します。
Step 1. モデル型を選ぶ¶
ヘッダーの 「Model:」 セレクタで、扱うモデル型を選びます(State machine / Requirement / Process)。
- モデル型を選べるのは シード段階だけ です。
- 最初のモデルが確定するとロックされ、ヘッダーは
Model: 〇〇の表示に変わります。 - シード中に入力済みの内容がある状態で型を切り替えると、 「seed 入力(ソース・要求・チャット)が消えます」という確認が出ます。
Step 2. 最初のモデルを用意する¶
用意のしかたは 3 通りあります。
- A. 要求から AI に生成させる(推奨) 分析パネルの Requirements タブに、モデルが満たすべき要求文を貼り付け/入力し、 「Generate Model」 を押します。AI が対応するモデル型のソースを生成し、図に反映されます。
- B. ソースを直接貼る Source タブに、そのモデル型の PlantUML(サブセット)ソースを直接書く/貼り付けます。
- C. 保存済みレビューを開く
ヘッダーの 「Open saved review…」 で、以前保存した
.jsonを開いて続きから再開します (後述)。
いずれかで最初のモデルが確定すると、レビュー段階に入ります。
Step 3. AI と対話してモデルを磨く¶
右側のチャットで AI に相談します。「この遷移が抜けている」「この要求を分解して」など、 自然文で指示できます。AI はモデルの修正案(新しいソース)を返します。
- 送信は Ctrl / Cmd + Enter(または Send ボタン)。
- 反映のしかたはモデル型で異なります(詳細は各分冊)。
- 状態遷移図 … 変更前/変更後の 提案ビュー を見て、Apply で反映。
- 要求図・プロセス図 … 提案は 自動で反映 され、変更箇所が図の上に自動マーカーで示されます。
Step 4. 指摘をマーカーで書き込む¶
図の上に、楕円・矩形・矢印で指摘を描き込めます(後述)。
Step 5. 結論を出して保存する¶
ヘッダーの 「Save & finish…」 で、結論(合意/保留/仕様側の課題)を選び、 会話・モデル・マーカーを含む 証跡 JSON をダウンロードします(後述)。
共通機能の詳細¶
Requirements タブ¶
- モデルが満たすべき要求文を書く場所です。
- シード段階のみ編集可能。モデルが確定するとレビュー段階では読み取り専用になります。
- 文字数の目安(ソフト上限)を超えると警告色になり、ハード上限(8,000 文字)を超えると Generate Model が押せなくなります。長い場合は該当箇所だけ抜き出してください。
- Generate Model … この要求文を使って「モデルを生成して」と AI に送るショートカットです。
Source タブ¶
- そのモデル型の PlantUML(サブセット)ソースを直接編集できます。
- ModelLogue は PlantUML 完全互換ではなく、レビュー目的に絞った モデル型ごとの最小サブセット だけを受け付けます。対応構文は各分冊を参照してください。
- 各モデル型のページ末尾に、その型が受け付ける 文法定義(EBNF)の全文 を載せています。 これはそのまま AI に貼り付けて「この文法に従って生成して」と指示に使えます (ModelLogue 自身も同じ定義を AI への指示に使っています)。
- ヘッダーの 「Download grammar」 ボタンは、状態遷移図の文法(
stateDiagram.ebnf)を テキストとして保存します。
AI チャット¶
- 右側のパネル。あなたの発言は右(インディゴ)、AI は左(グレー)に表示されます。
- (Slack 連携が有効な環境では、Slack から参加した人の発言が緑のふちどりで左側に表示されます。)
- AI が「変更後のソース」を含む提案を返すと、モデル型に応じて提案ビューや自動反映につながります。
提案の反映と Undo / Redo¶
- モデルへ反映した変更は、図ツールバーの ↶(Undo)/↷(Redo) で戻す・やり直しできます。
- Undo/Redo ボタンは常に表示され、空のモデルまで戻してもやり直せます。
- AI の提案は、反映の前後を 比較ビュー(current vs. proposed) で確認できます。追加・削除・変更された状態や遷移がハイライトされます。

マーカー(図への指摘)¶
図ツールバーの Tool: で描画ツールを選び、図の上に指摘を描けます。
| ツール | 説明 |
|---|---|
| 選択(ポインタ) | 既存マーカーの選択・移動・リサイズ |
| パン(✋) | キャンバスをドラッグして移動 |
| 楕円(⬭)/矩形(▭)/矢印(➜) | ドラッグで新しいマーカーを描画 |
- 色は 赤・青・緑・紫の 4 色 から、未使用の色が自動で割り当てられます。 4 色すべて使用中のときは、いずれかを消すと新しく描けます。
- 選択すると四隅(矢印は両端)に ハンドル が出て、移動・リサイズできます。
- 削除は Delete キー、またはマーカーを右クリックです。
- 自動マーカー(要求図・プロセス図)… AI の提案を反映すると、変更箇所が自動で枠取りされます。 追加=緑の実線、変更=アンバー(橙)の破線。これは作業用の目印で、選択や色割り当ての対象外です。 ソースを変更すると消え、次の反映で描き直されます。
マーカーは 揮発的な作業レイヤー です。図の画像エクスポート(下記 SVG/PNG)には含まれません。 レビューの記録として残したい場合は、次の Save & finish の証跡 JSON を使ってください (マーカーも JSON に保存されます)。
図の操作と画像保存¶
- 右下のズームコントロールで + / −(拡大・縮小)、100%(等倍)、⌂(中央に戻す) ができます。 マウスホイールでもズームできます。
- 図ツールバーの Save: で、モデル図を SVG(ベクター) または PNG(画像) として保存できます。 マーカーは含まれません。
Save & finish(証跡の保存)¶
ヘッダーの 「Save & finish…」 から、レビューの結論を選んで証跡 JSON をダウンロードします。
- 結論(Outcome) を 1 つ選びます。
- Agreed … すべての懸念が解消され、モデルが承認された。
- Postponed … 未解決の論点が残る。フォローアップのレビューで続ける。
- Spec issue … 障害は上流にある。要求の側を直さないとモデルを進められない。
- 任意で メモ を残せます。
- Download JSON を押すと、次を含む 1 ファイルがダウンロードされます。 最終ソース、要求テキスト、全チャットログ、反映のたびのソース履歴、マーカー、結論とメモ、セッション情報。
Open saved review(再開)¶
ヘッダーの 「Open saved review…」 で、保存済みの .json を開けます。
- 会話を含む 完全なレビュー(Save & finish で保存したもの)を開くと、会話・履歴・マーカー・モデルまで まるごと復元され、議論の続き ができます。
- 会話を含まない シード用の素材(ソースや要求だけのファイル)を開くと、それを種として新しいセッションを開始します。
- URL に
?file=<JSON の URL>を付けて起動すると、その JSON を起動時に読み込みます (ネット公開されたレビュー証跡を、リンクひとつで開くための仕組み)。読み込みはサインインの有無に 関係なく行われ、読み込んだ内容の閲覧に認証は要りません。
例を開く(サンプル)¶
公開しているサンプルのレビュー証跡を、リンクひとつでツールに読み込んで、図・対話ログ・結論を確認できます。
- ModelLogue のレビュー工程(ModelLogue 自身のレビュー作業を状態遷移図でレビューした記録)
- アプリで開く: modellogue.com で開く →
- JSON を直接見る: review-workflow.json
- ストップウォッチ(スタート/ラップ)(2 つのボタンだけのストップウォッチを状態遷移図でレビューした記録。「計測中」を複合状態でまとめた例)
- アプリで開く: modellogue.com で開く →
- JSON を直接見る: stopwatch.json
「アプリで開く」は、公開中の modellogue.com/app でそのまま開く例です(アプリはサイト直下ではなく /app 配下にあります)。自分で別のアドレスに
公開している場合は、https://modellogue.com/app の部分をそのアドレスに読み替えてください。手元に保存した .json は、
ヘッダーの 「Open saved review…」 からも開けます。サンプルは今後増える予定です。
ステータスバー¶
画面最下部に、PlantUML Server(図の生成)と n8n(AI 中継)の接続状態が 緑(接続)/黄(確認中)/赤(未接続)で表示されます。図が出ない・AI が応答しないときの切り分けに使えます。
次に読む¶
- 状態と遷移をレビューする → 状態遷移図(State machine)
- 要求とトレーサビリティをレビューする → 要求図(Requirement)
- 業務フロー・手続きをレビューする → プロセス図(Process)